遊撃手

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夏、そして冬、春を越えて五年生になると俺らはレギュラーに上りつめた。 五年生ながら俺はショート、葵はセカンドで市内でも有名になり鎌ヶ谷のアライバとも言われた。 「秋くん、あのね」 「なんだよ、早くグローブはめろよ」 「うん、」 「今日は岸カーブなげるんだから!」 いつものグラウンドに二人の影が離れていく。 夏休みに入ってから試合も増えてきたが葵が活躍してるのに俺は全く活躍出来ないでいた。守備では緩慢なエラー、打撃も1割を割るようになってきた。 「秋くん、最近どうしたの?怪我でもしてるの?」 葵は練習終わりに俺に話しかけてきた。 どうしたの?と言われても俺が一番わからないんだからどうすればいいんだよ。葵に悪気があって心配してくれてる訳ではないから余計腹立たしかった。 「うるさいな、良いよな活躍出来てる選手は。人の事心配する前に自分の事心配しろよ」 口を開いてから後悔した。葵は驚きながらも笑顔をつくって 「そうだよね!私先に帰って練習するね!」 葵はその小さい体に不釣り合いな青いエナメルを背負って走ってく。 葵の表情が余計苛立たせた。
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