守りたい―彼の心はそれを否定する #山河side

2/4
前へ
/105ページ
次へ
俺は…もう待てない。 どこからか帰ってきた彼の顔は酷く疲れていた。 そしてとても弱々しくて、これ以上見ていられない。 絶対に何かあっただろう、そう思えるほど今の彼は弱くて頼りなかった。 いつもの演技や大袈裟な言動や大きな声は影に隠れている。 そんな目で見られたら助けたくなる。 けれど彼は助けなんて求めてくれない。 それでも、弱った今のアイツの姿を見て我慢が出来なくなった。 だから聞いてしまった。 彼の演技はもうズタズタで、笑顔もうまく取り繕ってはいるが…いつものあのなんとも言えない、元気さも隠れてしまっている。 そこに気を回すほど余裕がないのだろう。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加