102人が本棚に入れています
本棚に追加
無理矢理にでも彼の本心を、背負っていることを聞き出したい。
だが彼は絶対に言わないだろう。
それだけはわかる。
だから待つしかない。
少しでも彼の助けになりたいと思うから…
彼が部屋に戻った後、小さく心のなかで呟いた。
――俺も面倒な奴を愛してしまったな。
けれどその声に後悔など微塵もなく、それは部屋に戻った強がりで、優しい彼を愛しく想うものだった。
これは彼女を救えなかった俺が唯一できること。
彼女と彼を重ねてしまったから。
彼女は唯一の理解者であった。
彼はなにも知らない。それはとても自分勝手な贖罪であった。
彼にとっては押し付けでしかないことはわかっている。
けれども、それだけじゃなくて彼を本当に救いたい…そう確かに思っている。
最初のコメントを投稿しよう!