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「ギャギャ」
頭の羽を羽ばたかせ、すっと平行飛行で襲い掛かると隊員の一人を足で掴み人の手の届かぬ柵の上まで飛ぶ。
「やめろ……っ! 放せ……!」
真っ黒な重たい塊が地に落ち、空中で分裂したかと思えば片方は破裂し赤い液体を撒き散らす。
「油断するなよ、ここからが正念場だぞ……!」
ここまで追い込まれてきたのは戯れ。
そう言葉で理解せずともこの惨状を目の当たりにすれば察知がつく。
何を言ってるか分からぬその声が隊員たちには笑い声に聞こえた。次々と重い装備を切り裂き抉られ、倒れる隊員たち。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
「くそっ……下がってろ!」
隊長格の男が真っ先に屍へ寄ろうとするも、そうはさせてくれず化け物は威嚇し翼をはためかせる。
今の光景を見れば嫌でも、掴まれる恐怖が目に焼き付いた事だろう。
「撃て!」
隊員たちはライフルで狙い打つが化け物は空を飛び回っては当たることするなく、時おり急降下しては隊員たち、特にまだ場馴れしていない者は腰が引け、自然と化け物の方ばかり追ってしまう。
「後ろをとられるな!!」
そう隊長格が叫んだ時には遅い。
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