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あの空の色
2011年3月、日本の東北地方を未曾有の天災が襲った。
マグニチュード9.0、最大震度は7の巨大地震が起きたのだ。
東北地方太平洋沖で発生したその地震は、東日本大震災と名付けられた。
犠牲者の殆どは津波によって飲み込まれた。
この年、日本は勿論、世界中がショックと悲しみに包まれた。
当たり前に訪れると思っていた明日が、当たり前に会えると思っていた家族が、友人が、一瞬にして消えてなくなるなど、一体誰が想像しただろう。
それから30年の時が過ぎ、被災地はすっかり戻通りの姿を取り戻していた。
目を覆いたくなるような光景は、もう何処にも存在していなかったからだ。
だから、私達は忘れていた。
平和という日常にすっかり慣れてしまっていた。
――忘れてはいけなかった。
「……日本は地震大国です。このような大きな地震は今後関東にもないとは限りません。普段から家族の人と、もしもの時の事を話し合っておきましょう。では授業を終わります」
地学の授業が終わり、先生がいなくなるのと同時に一気に教室がざわめきだす。
「今日帰り暇? 暇ならカラオケ行かない?」
「また? 先週も行かなかった?」
俺達は高校3年生。
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