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部活と勉強しかしていなかったが、今思えば大学時代よりも濃い思い出が詰まった3年間だった。
何より、恵里香とも出逢えた。
「幼いな」
恵里香も自分も随分と大人になったものだ。
10年後……あと2年後にはここに載っている皆と会えると思うと楽しみで仕方が無い。
「武志も頑張ってるもんなぁ」
世界ランキング50以内には必ず名前を見つける。
そういう昔の仲間の奮闘している姿を見ると自分も頑張らなくては、と思うのだ。
28歳の自分が恥ずかしくないように、と。
それから暫くして、突然両親が荷物を整理し始めた。
聞けば、この2年のうちに引越しを考えているという。
俺にも大切なものは今から梱包しておけと言われた。
「え? 一希のうちも?」
2ヶ月ぶりのデートで引越しを考えていることを恵里香に伝えると、恵里香の家も近々引越しを考えているとのことだった。
「離れるのはやだね」
「そうだな……でもそうなったら2人で何処かに住む?」
軽く言ったら恵里香は飲もうとしていた紅茶を吹き出した。
「あっつ!」
「アホか」
冷たいお絞りを渡すと恵里香は恥ずかしそうに口もとへあてた。
「いや、でも私家事とか出来ないし」
「……出来なさそうだな」
「失礼な!」
「出来るの?」
「…………」
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