枠外(具欄児・校長-戌心・裸足 ※しねたあり)

3/5
前へ
/11ページ
次へ
開けた。 部屋には拘束された押見さんがいた。心臓が止まるかと思った。 「…いいよ…ああいいよ!…遠山、逃げんじゃねぇぞ。今からやるから…」 言葉の意味が理解できかった。何がいいんだ、やるって何、そもそも押見さん何で生きてんの!? 「遠山!逃げろ!このままじゃ、お前が危ない!」 押見さんがまだ喋れるってことは幻じゃない。でも、押見さんが心配だから、逃げたりなんてしない。 「…いいよ。うん。押見さん、いくよ。」 池谷さんが押見さんを部屋から引っ張り出してきた。右手には牛刀を持っている。 「なんかある?」 「なにもねぇ。すぐにでもいい。」 押見さんの最期の一言と共に飛び散る赤。その姿はとてもグロテスクで、冷や汗が止まらなかった。池谷さんは、笑顔で涙を流しながら、何かを呟いている。その間も、牛刀の動きが止まることはない。何か気を紛らわせたくて、とりあえず伊藤にメールした。 「あめあめあめあめあめあめあめあめあめ…」 雨がこの赤も洗い流してくれればいいのに。 「ほら、遠山。これが心臓だ。」 そんな残酷なもの、見せないでくれ。もう、全てが赤に見えた。同時に、意識を手放した。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加