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「オレだってまだ決まったわけじゃないっつーの」
これにも曖昧に苦笑いをして答えた。
明るいイエローグリーンの人工ダウンを着込んで、ダウンと同じメーカーのショルダーバッグを肩にかける。
紫が基調のバッグには、こちらもダウンと同じ明るい色調のライトイエローとイエローグリーンで、大きく派手に“Viaggio(ヴィアッジョ)”とそのブランドロゴがデザインされている。
少年、進一郎が最近好きなスポーツ・アウトドアブランドだ。
値段の割にデザインも性能も抜群に良い。
このダウンも『ペンケースほどの大きさに薄く丸めてしまえるのに、いざという時には寝袋になるほど暖かい』という触れ込みだ。
ありがたいことにそこまで過酷な状況に置かれることはまずありえなくても、どういうわけだかこういったアウトドアに強いアイテムに惹かれるのだ。
「じゃあな友梧、と、えーと……滝口さん」
進一郎がそう言って席を離れると、滝口さんと呼ばれた少女は少しビックリした顔をして、顔を赤らめた。
そして胸の前で「またね」と小さく手を振った。
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