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明日、試験の結果が合格ならばその高校に通うのだろう。
もしそうでなくても、どこかの高校に受かるまで試験を受けて、どこかの高校に通うのだろう。
どうでも良い気がした。
どうせこれまでと同じだ。
どこでだってそれなりに上手くやっていけるだろう。
勉強は嫌いじゃない。
頑張ったところで日本有数の有名大学に行けるほどではないが、試験やテストの時に力を入れれば、そこそこの成績は取れるだろう。
スポーツも同じで、運動神経もそこそこ、技術はともかくとして体力にだけは自信がある。
だから部活は極力一人で出来て、内申書受けも良さそうな陸上を選んだ。
マラソンコースを走るのは好きだ。
走っている間は何も考えなくて良いし、誰かに気を使わなくて済む。
そんな感じできっと高校に行っても部活はそのまま陸上を選んで、勉強もそれなりにして、クラスの人間関係もなんとかやっていけるだろう。
「それでなんなんだろうなぁ。オレの人生」
気がつくと、あと三百メートルほど真っ直ぐに歩けば、家に着いてしまう距離だった。
立ち止まってつぶやいた一瞬、足元を左から右へ、黒と黄色の小さな影が横切った気がした。
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