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「淳太は……。」
しばらくの沈黙の後、アコはゆっくりと口を開いた。
「淳太は琉生と最後まで一緒にいれたんでしょ?」
「……。」
アコの言葉に沈黙を続ける淳太。
「私。思うんだ。」
そう言ってアコは続けた。
「仲のいい人の最後を看取れるなんて
なかなかできない事なんだよ。」
アコは淳太の肩に優しく手を触れる。
「私達みんな、高校を卒業したら離れ離れになって行く。
仲が良かったみんなだって、次第に繋がりが減っていくの。
一体どれだけの人と最後の時間を共有できるかわからないんだよ?」
淳太の背中にアコの言葉が沁みる。
次第に軽くなっていく淳太の心。
しかし、淳太はそんな自分が許せなかった。
淳太はアコの方を振り向き口を開いた。
「けど、俺が……!俺が……!」
涙を眼に貯めながら何かをいいかけた淳太の口に、
アコはそっと人差し指を当てて言った。
「琉生の事は運命だっただけ。
淳太のせいでも何でもない。」
アコのその言葉を聞いた淳太は大声でむせび泣いた。
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