[佳乃編]プロブレム

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「だって私がいると和真、 早目に仕事を切り上げたり、 手の込んだ料理を作ったり、 とにかく無茶しちゃうでしょ?」 「そんなの別に気にしなくても」 自慢じゃないが言い出すと後に引かない。 私が頑固なのは和真が一番知っている。 「たぶん和真って、結婚しちゃえば 頑張るのをセーブすると思うんだな」 「そんなこと無い、結婚後も頑張るぞ」 「だったら尚更だよ。 私のいない生活で一回リセットして。 頑張るのを止めてくれないと、 結婚する自信、無いし」 「そんなこと言うなよ」 あーでもない、こーでもないと 2人の話し合いは延々と続き。 それは主任が目覚めてからも、 まだ終わらなかった。 「…悪いなあ、皆さん。 俺のせいでこんなことに?」 「主任のせいじゃないですよー。 なんか和真さんの愛情が重すぎるんです」 「ていうかさ、佳乃ちゃんが淡白すぎる」 外野の声はシッカリ聞こえていたが、 白熱して止まらない私と和真。 …… そして2時間後。 どうにか和真を説得し、 結婚まで別居させて貰うことにする。 そのとき、和真が小さく呟いた。 「まったく佳乃の行動だけは読めないな。 たぶん一生振り回されるんだろうな、俺」 それを聞いて、 私は心の底から彼に詫びたのだ。
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