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たかが3年、されど3年。
泥酔しているせいか主任は、
私とまだ付き合っているモードらしく。
カノカノ煩い。
「佳乃ーっ、この椅子固くねぇか?」
「仕方ないですよ、我慢してください」
「佳乃?なに食ってるんだよ」
「海老しんじょです。主任も食べますか」
「佳乃、なんか他人行儀じゃねえか?」
「そんなことはありませんよ、
主任のことは上司として慕っております」
そんなやり取りをした後、
ゴゴゴと椅子を少しだけ後ろに引き、
いきなり私に膝枕をさせようとする。
「ちょッ、やだ、主任?
いいコだからきちんと座ってくださいよ」
「うるせぇ、もう飲めないっつうの」
そして、あまりの狭さにソレを断念。
今度は座ったまま私に抱き着く。
「こんなに酒グセ悪い主任は初めてかも。
ええっ?!やだ、また寝ちゃった。
おーい、おーい、滝口主任ってばーっ」
「んああ、…佳乃、
ウチに着いたら起こしてくれ」
うええっ?そ、それは無茶な。
小さく手を挙げて私は仲間たちに訊ねる。
「主任の新住所、知ってる人はいますか」
私との同棲を解消した後、
主任は単身用マンションに引っ越した。
そしてその住所は…
どうやら誰も知らないらしい。
「ど、どうしよう?」
「佳乃さん、主任の酔いが冷めるまで
どこかで時間を潰すしかないですね」
冗談のような本当の話。
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