[佳乃編]プロブレム

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主任がソファを占領しているため、 我ら3人はその下のカーペットで直座り。 テーブルを脇に移動させ、 いわゆる体育座りで円陣を組んでいた。 「…でね、その営業の越村って新人が もう伝説になりそうなほどダメ男でね。 遅刻してタクシー乗ったのを 交通費として請求したり、 入社1カ月目で有休申請したり。 まあ、そんなのは序の口で、 クライアントの要望を必ず間違って 制作部に伝えてくるワケ。 メモを手書きすることがカッコ悪いとか 思ってるらしくてね。 そのくせクライアントと打合せしながら 電子ツールに入力するほどの能力も無い。 結果、うろ覚えのハチャメチャな伝達で 間違ったものが出来て大幅に修正される。 これを『越村地獄』と呼んでるんだけど、 今回の被害者は主任だったんだな。 たぶんココ1週間、寝てないはずなの。 だから許してあげてね、俊さん」 意中の男性の部屋に入れたということに 興奮しているせいか、 那月ちゃんのお喋りが止まらない。 誰も相槌を打っていないのに、 それはまだまだ続くようだ。 「でね、その越村って、 取引先の社長の息子なんですって。 だから武者修行的な感じでウチに来てて、 1年しかいないらしいんだけど、 ほんとロクでも無いんだから。 注意した先輩に逆ギレするし、 先輩にもタメ口で話してくるし」
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