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ブー、ブー、とスマホが鳴る。
表示された画面を見ると、
俊くんからのメッセージで。
今晩はいつもより少し遅れるが、
到着まで待っていて欲しいとの内容だ。
「また20分間の彼氏ですか?
ほんとマメですよねえ」
「那月ちゃん、そういう言い方ヤメてよ」
正直、私も戸惑っていた。
開始当初は『偶然会った場合のみ送る』
という約束だったはずなのに、
それが今ではお互いに連絡を取り合い、
必ず毎晩一緒に帰ることになっていて。
そんなことになっていると
和真にも報告出来ずにいた。
「ごめん、佳乃ちゃん、待たせちゃって」
「ううん、全然待ってないよ」
これではまるで恋人同士ではないか。
いや、私が自意識過剰なだけで
俊くんの方はそんなつもりじゃ無いのだ。
「あのね俊くん、明日は飲み会だから
送ってくれなくていいよ」
「飲み会?職場の??」
「あ、うん。
職場と言っても那月ちゃんという
24歳の女のコと二人きりなの」
「へえ。じゃあ、……く」
途中、横を通ったバイクの音で
聞き取れず、私はその言葉を問い返す。
「なに?よく聞こえなかった」
「俺もその飲み会に行く」
その真意が読めず、首を傾げていると
俊くんは笑顔で言うのだ。
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