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一本道、足りない、寝坊
「はぁ……はぁ……」
夕暮れの道をひたすらに走っていく。
さっき寂れて潰れていそうな駄菓子屋のある十字路を曲がってから後はもう一本道をひたすら走るだけだ。
ついうっかり寝坊した私が悪いので、ただひたすら息を切らして走っていく。
早くしないと陽が暮れて、街灯もないここは真っ暗になってしまう。
「田舎はこれだから嫌いなのよ」
携帯の電波はこの数年ですっかりあちこちでつながるようになったけれど、それでもこの夜になるとすぐ暗くなるのは怖くて嫌い。
酷いときにはあぜ道を外れて田んぼに落ちることだってあるし、だからこそ急がなければ。
夏休みで友達の家でお昼寝していたらすっかりこの時間まで寝てしまい、二時ごろには帰宅してるはずだったのに寝坊してしまった。
友達の家を出るときにlineにはもうすでに母からのお怒りメッセージが届いてたし、いそいで家を出てきてしまった。
今日は友達の両親が居ないので、車で送ってもらうことができなかった。
夕日を背中に浴びて遠くに見える民家の明かりを目指して駆け抜ける。
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