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「ほら、これが白玉ちゃんよ!あたくしと同じ、真っ白なモデル猫ちゃん!この『土鍋猫』で大人気になったんですの!!」
「土鍋猫ですか?」
小雪は付箋の付いていた頁を開くと、ぷにと前脚で指し示した。
そこには、土鍋の中にすっぽりと収まり、まあるくなっている白玉の写真。
土鍋と猫。有り得ねぇ組み合わせが何とも滑稽なんだが、多分それが人にはうけるんだろうな。それにこの白玉ってぇ雌は、かなりの器量良しときてる。
まぁ、猫としても狭ぇところに入りたい気持ちはわかるぜ。あの密着感がたまらねぇんだ。
「あたくしも白玉ちゃんみたいに土鍋で丸くなったなら、素敵に写るんじゃないかと思いますの!福之助さん、ぜひ撮影の練習をして頂けないかしら」
「なるほど、なるほど。小雪さんも土鍋猫に挑戦してみたいと」
「ええ!」
「わかりました。手伝ってみましょうか」
「ああ、嬉しいわ!」
あっさりと引き受けたが、大丈夫なんだろうな。
俺の心配を余所に「土鍋とカメラはどこにあったかな」などと呟きながら立ち上がる。
やつが準備している間、小雪はアルバムの例の頁を覗き見てしゅんと肩を落としたり、白玉の写真を眺めて同じポーズを取ってみたりと忙しくしていた。
少しすると、お目当ての物を持った福之助が、ゆるい笑顔を浮かべながら縁側に戻って来た。
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