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「白玉さんは白玉さん。小雪さんは小雪さんですよ。そう気を落とさずに」
「そうよ。あたくしはただのおデブちゃんですわ・・・・・・。本当はわかっていたの。白玉ちゃんにはなれないって」
つくづく雌ってやつは面倒くせぇ。がっくりと項垂れ、ずんぐり丸まったその背を撫でる福之助は男の鏡だな。
しかし、どうするんだこの事態。
「小雪さん。おひとつ提案があるのですが。どうです、この最後の一枚。僕に任せてもらえませんかねえ?」
「どうせ素敵な写真なんて撮れっこないですわ。それでも、福之助さんがそう言ってくださるのなら」
「ええ。ではでは、もうひと頑張りしましょうか」
穏やかな、それでいてどこか自信ありげな笑顔を見せる福之助。何か策があるってのか?
「と、その前に。慣れない撮影で疲れたでしょう。甘いものはいかがです?」
「え?でも、あたくし・・・・・・」
「ほら、そんな顔してちゃいけません。こんな時こそ大好物で元気を出すんです」
おいおい、此の期に及んでまた食わせるのか?
福之助が目線で指し示した先には、小雪が残したもみじ饅頭が一つ。
「そ、そうですわね!確かに疲れには甘いものって言いますものね、おほほ!じゃあ、遠慮なく頂きますわ」
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