31人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
真っ白な表紙には薄桃をした、ぷっくり肉球の絵が描かれている。
「可愛らしいアルバムですねえ。ではさっそく」
ぺらりと表紙を捲ると、一頁目には三枚の写真が貼られていた。
その内の一つに《生まれたばかりの小雪。ミルクはどこ~?》と題字がある。まだ目も開いてねぇ、真っ白な毛並の子猫の写真。主人が哺乳瓶でミルクを飲ませようと小雪を抱っこしている。
「やあ、これは子供の頃の小雪さんですか。ふむふむ、可愛いですねえ、面影ありますよ」
「いやですわ、そんな!!」
嬉しさ余って福之助の腕に猫パンチの連打を浴びせる。ヘビー級だが腕は無事か?
「なるほど、成長記録ですか。小雪さん、ご主人に愛されてますね」
「うふふ」
俺は世辞は言わねぇ。
主人に腹をくすぐられて愛嬌たっぷりに万歳してる写真や、毛繕い中の舌をぺろっと覗かせた姿が何とも可愛らしいじゃねぇか。
大人になってもそれは健在で、愛らしさの中に気品が漂うような、そんな雌に育ったようだ。
「美人さんですね」
「この頃は殿方に追いかけられちゃって!うふっ」
そんな調子で眺めていたんだが。
頁が進むに連れ、何だか白い餅みてぇに膨れてきやがる。女主人も一緒にな。
小雪のやつも、さっきまでの浮かれ気分はどこへやら。どんより曇った空みてぇなツラしてやがる。
最初のコメントを投稿しよう!