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~大S君のお話~
数年前…
まだ、大S君が今とは別の会社で働いていた頃のお話です。
当時、郊外のとある地方都市に住んでいた大S君は、
通勤にJRを利用していたそうです。
彼が毎日利用していた、そのJR駅というのは…
改札も売店も無い…
いわゆる『無人駅』というやつでした。
この駅…
列車からホームに降り立ち、少し歩くと…
すぐに『下り』の階段が有りまして…
更にその階段を下ると…
コンクリート打ちっぱなしの『地下道』につながっていました。
大S君は、
いつもその地下道を通って(結構、長い地下道だったそうです)、
しばらく歩き…
今度は『上り』の階段を上がって、再び地上に出る…。
と、いったルートで毎日帰宅していたそうです。
この地下道ですが…
天井には、数メートルおきに蛍光灯が付いていましたが…
何となく昼間でも薄暗く…
いつも、寂しげで殺風景な雰囲気だったそうです…。
さて。
とある蒸し暑い、夏の夜の事…。
すっかり、残業で帰りが遅くなった大S君は、いつもの様にその無人駅で列車を降りました。
大S君「すっかり遅い時間になってしまった…。とっとと家に帰ろう」
大S君は、いつもの様に駅のホームから、下り階段を下りて地下道に入りました。
と…
大S君「あ…地下道の蛍光灯、切れかかってる…」
何本かの蛍光灯がチカチカと明滅して…
その晩の地下道は、いつもにも増して暗い感じでした。
(まあ、夜間という事も有るでしょうけど)
更に…
大S君「何て、蒸し暑いんだ…。これは、タマラン…」
ただでさえ、カナリ蒸し暑い夏の夜…。
地下道の中は、地上より更に更に蒸し暑くなっていました。
(地下と言えば、多少はヒンヤリとしそうなものですが)
大S君「これは、ツライな…」
でも、ここを通らないと大S君は帰宅できません。
大S君「ま、しゃーないか。ガマンガマン」
彼は、暑さを我慢して足早に地下道を歩いて行きました。
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