3 ママ友も大好き、イケメンコーチ

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「はぁ」  数字が目の前でぐるぐる、頭の中でもぐるぐる回っている気がする。 「お父さん大丈夫?」 「んー、今日、棚卸だったんだ。数字一日眺めてたから」 「なた……数字? 俺も、今日算数やったよ」 「できた?」 「難しかった。でも、お隣でやってた三年生の算数はもっと難しかった」 「へー」  口をへの字にして、さも難しそうな顔をしてみせる。自分は一年生、三年生になるとあんな問題と解けてしまうのかと、少し信じられないみたいだ。  三人で林檎をふたつ、平等に分けて食べるにはどうしたらいいでしょう。  でも、その問題を聞いて、俺もそんな難しいことをあと二年後の伊都は解くのかとちょっと不思議な感じがする。  つい最近、年長さんになったと思ったのに。ついこの間、卒園して、入学したと思ったのに。  本当に、一気に生活が変わる。小学校に入学してからしばらく、伊都も激変した生活に疲れていた。ずっと保育園で、育児として接してもらっていた先生と、学校の先生が違うから、最初の頃、少し戸惑ってたっけ。よくその頃、夕方になると少しワガママになったりしてた。もうこのごろはそれがなくなったけど、疲れてることは疲れてるらしくて、寝るのが早い。  今日も、学童のお迎えぎりぎりだった。延長代だって、削減できるのなら削減したいところで、ひとり親でサポートもあるけれど、やっぱりお金は……って、思いつつも、今、買い物にしにやってきてるのは近くのコンビニで、ちょっとお高い品物の中でどうにか安いものを、と探して迷っている。 「なぁ、伊都、今日、野菜炒めと、コロッケ、どっちがいい?」 「んー……どっちでも」  短期とはいえ、スイミングスクール代もあるんだし、お金節約はしたい。今日はコンビニのカット野菜か、千切りキャベツのお世話になろうかな。 「んー、じゃあね」  野菜炒めのほうが肉なら家にあるし、安上がりなんだけど、このカット野菜一袋だと少ないんだよ。かといって、ふたつはいらないし。余ったのとって置いても冷凍できるわけじゃないし、キャベツの色変わるかもだし。 「んー……野菜炒めにしようか」
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