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さっき告げられなかった言葉を、遅れて届ける。
多加木は自身の肉体に鞭打つと、腰を跳ね上げた。
「んああああああああああああっ!」
ひときわ高い声を、佐原が発した。
「たっくんっ、たっくんっ!」
「ああ、ここにいるっ」
「わたし──イクっ、イッちゃうぅ!」
動きが止まり、その臀部が、全重量を乗せて、多加木の下腹部に食いこんだ。
「──くは……っ、あっ、くぁぁぁうっ」
痙攣、そして。
「んあっ、ぁああああああああああああっ!」
彼女の爪が、多加木の乳首をかすめた。
多加木は身を持ち上げ、浮いて行ってしまいそうな彼女のカラダを抱きしめた。
彼女の肩越し──窓の向こうに満月が見えた。
「あっ──はぁっ──」
ぐったりとし吐息をもらした彼女を支え、そのまま、ゆっくり横になる。
ぬるっと、ふたりをつないでいたものが抜けた。
荒く息をしながら、しばらくおたがいの顔を見つめる。
「すごい音」
やがて佐原が言った。
「心臓、どくどく言ってるよ」
「そうかも」
「感じる。疲れたんでしょ」
「疲れた」
「前より動いたし、時間も長かったもんね」
「終わらせたくなかった」
「あ、うれしい」
「好きだ」
なにげないタイミングを狙おうとした。
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