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「む……変な味がする」
「ほら……その指、さっきまで触ってたから」
「ナニを?」
「…………」
「だれの、どこを?」
「そういうの、男のセリフだと思うんだよ」
「ふふん、関係ないもん」
彼女は舌を伸ばし、見せつけるようにゆっくりと、指の根元から先までを舐めあげていった。
赤く濡れた舌。彼女の吐息が指にあたる。
佐原は両手で多加木の手をつかまえている。
自然、多加木の肘は彼女の胸に当たっていた。
標準サイズだが、端正なふくらみ。そのなめらかな感触に、肘が沈む。
「あむ……つぷっ……ず……ぇろっ」
指が、彼女の口に呑みこまれる。頬の内側の肉に挟まれ、埋もれる。
彼女の行為を、呆然と眺めていた。
くすぐったさが快感へと変換され、ぞくぞくと背筋を這いのぼる。
そんな多加木の様子を、佐原は上目遣いで見つめてくる。いたずらっぽく。
「お前……わざと音を立ててるだろ」
「ふぇー? ふぉんはほほふぁいお?」
「このやろ、指を解放しろっ」
手を引くと、彼女の口先から、ぬるっと指が飛び出した。
両者のあいだに長く糸が引いて下向きに弧を描き、自重に耐えきれず、そのままシーツにこぼれ落ちた。
「んもう……」
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