ふたりセリフ(あるいは、18禁への果敢なる挑戦)

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 おやつを取り上げられた子どものような顔で、佐原が顔を上げる。  彼女の唇からは、垂れた糸の切れ端が伝っている。 「じゃあ、たっくん。今度、誘ってみる?」 「だれを?」 「しこちゃん」 「なにに?」 「こういうことに」 「えっ。いや、誘われても迷惑だろ!」 「いやいや。しこちゃんなら、たぶん来るね」 「やめてくれー、俺のなかであの子のイメージがくずれていく!」 「ほう、どんなイメージ?」 「清楚系?」 「わたしは?」 「……小悪魔系?」 「差別だぁ!」 「日頃の行いだろ!」 「しこちゃんのほうが、エッチだもん!」 「うわー、やめろー!」  聞きたくない情報が、次から次へと。 「まあま、たっくん、そんなに心配しなくても、だいじょうぶ」 「心配って、なんだよ」 「わたし、男はたっくんしか知らないよー」 「や、べつに、そういうこと気にしてるわけじゃない」 「にゅふふ、ほんとかなー? しこちゃんに嫉妬しちゃってたのでは?」  ぐっと顔を寄せてきたので、反射的に身を引いた。  佐原は、口もとに垂れていた唾液を、手のひらで拭う。 「……それは自意識過剰だ」 「まぁた、強がっちゃって」  彼女の腕が伸び、多加木を引き寄せた。  肉体が密着する。すべすべした肌が心地いい。 「つかまえたー」     
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