猫の手も借りたい・・・

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 男は夜の山の中にいた。  べつだん、趣味や仕事のために、いるのではない。  けれども、「必要」があるから、いるのだった。  シャベルを手に、先ほどから穴を掘っている。ただ、ひたすら掘り広げている。  ザクッ。ザクッ。ザクッ。ザクッ。  ・・・夜鳥も鳴かない静けさをやぶり、単調な音だけがあたりに響く。  何かを掘り出そうというのだろうか?  いや、反対だ。雑木がうっそうと茂る中。少し離れた場所には、「等身大の包み」が放りだされている。  男は、これを埋めたいのだった。ありていにいえば、隠したいのだった。  安っぽい、ナイロン地の包みのなかは、男の妻であった。  いやいや、元妻と言い直そう。  何度も鈍器で殴られて、首はへし折れ・・・顔などは原型をとどめてはいないのだから。  男にとって、妻は金づるではあったがーー悪妻でもあった。妻から見れば、男は結婚詐欺師に等しく、無能力者だったわけだが・・・ここでは、そんなことは問題ではない。  男は最終的な解決というものを試みて、現在、仕上げにとりかかっているというわけだ。  それ以上の説明が必要であろうか? 「ふっ。ふうっ!」    
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