凪ぎの朝、その船では…

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 ある部屋の中から音がしたのだ。 「あら? お客ではないはずだけど……誰かいるのかな……?」  ふと見ると――『A104号室』  沙希は二回ノックしてから、マスターキーを使い、ドアを開け、 「失礼いたします……」  しかし人影はなく、特に異常もなかった。  薄暗い船室の窓から見える海の光景は、なかなか他では見られない、一つのムードをかもしていた。  沙希はカギをかけ直して、行こうとした。するとまた、  トントン……
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