凪ぎの朝、その船では…

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 すると、さっきの部屋から男が出てきて、 「もー、先輩ったら……」  沙希が思わず振り向き、再度少女の方を見たと、彼女の姿はなかった。 「あれ? どういうこと?」  男の制服のプレートには『クロイワ』とあった。  彼は、黒岩 明という二等航海士だった 「沙希さん、どうして行っちゃうんですか?」 「当たり前でしょ、ここは職場よ。それに、名前を呼ぶのはダメでしょう!」  さっさとブリッジ(操縦室)に向って歩き出した。 「ちぇッ。引きずり込んでキスしたかったのに……」  ドアにカギをかけると、後を追った。
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