凪ぎの朝、その船では…

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 まったく風も何も無いのに、黒岩の体は浮いたまま、階段を下りつづけた。  沙希は、どうしていいか分からないまま、後を追いつづけた。  が、その時、さっきの少女の言葉を思い出し、 「お嬢(じょう)ちゃん、どうか止めてー!」  しかし、なんの反応も無かった。  どうやら最下部に向っているようだった。  沙希は、船内無線機で、助けを呼ぼうとしたが、無駄だった。 (最下部には機械室がある。もしかして……!)  沙希は、最悪の事を連想していた。
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