凪ぎの朝、その船では…

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 なぜなら機械室には、ホイラーシステムがあるからだ。  そう思いながら、空中を流れる黒岩を追いかけていった沙希は、ついに機械室の前まで来てしまった。  間もなく客の乗船が始まるこの時間、ボイラーシステムもフル稼働を始めてる頃だ。 「だけど、このドアは普通のドアじゃないから、この中へは無理でしょう……。 ねぇ、お嬢ちゃん、もうこの男を許してやってー!」  すると、黒岩の浮き具合が変った。 (そう。やっと許して……)  沙希が、ホッとした瞬間、黒岩の姿が消えた。 「ちょっと待ってー! お願いー! やめてー!」
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