凪ぎの朝、その船では…

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 沙希は、機械室のドアを激しく叩きながら、 「お願い開けてー! ボイラーの中を見てー!」  しかし、機械室の中は、色々な音が充満しているため、誰の耳にも届かなかった。  その頃、機械室の奥のボイラーシステムの管理スタッフ達は、騒然(そうぜん)としていた。  システムが『異物進入』を知らせていたからだ。 「しかし、そんな事って……」 「おかしいな……。ミスジャッジかな……?」 「仕方がない。とにかく中を確認してみよう」  システムをダウンし、ボイラーのカバーを外したスタッフ達は、愕然(がくぜん)とした。  ボイラーの中心部から、二目と見られぬほど、ボロボロの姿になった黒岩が、出てきたからだ。
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