人間共を更に挑発いたしますわ

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 獲物側が『仔羊教会』なんて集会を作ってしまうほど巨大化してしまった私達のニンゲン牧場。だけど、流石にここまで大きくなれば、人間側も黙ってはいられないようで。 「カミラさん、これ見て下さい」  シエルが見せてくれたのは、テレビの番組表でした。彼女が指差した所を見てみますと、なんと生放送の特番をするようです。内容は『日本の闇! 怪物達に食べられたがる人達!!』とのこと。  出演者を確認してみますと、司会のアナウンサーやコメンテーターの他に、モデルや芸能人、怪物達に獲物を盗られたという会社の社長や家族とかも出るご様子。かなり色んな人が出演されるみたいですわね。 「どうします、カミラさん?」 「どうしますもありませんわ。こんな素敵な歓迎、受けないわけにはいかないじゃない。仲間を集めますわ。この放送を狙って、一気にテレビ局に攻め込みますわよ」  自覚できるくらい邪悪な笑みを浮かべている自分がおります。ゴールデンタイム(夜中)という格好の時間帯に、こんな人選でこんな番組を、しかも生で開いてくださるなんて、私達を歓迎しているとしか思えませんわ。  放送当日。  私の力を以てすれば、仲間を集めて局の暗がりの中で身を潜めることなど造作もありません。いよいよ放送が始まりました。映像を交えて、出演者が様々な議論をしております。 「そもそも吸血鬼やサキュバスなんてものが、この世にいることがおかしいんじゃないのか!?」 「しかし、現実でこのような映像が流れているのは、事実ではないのか?」 「これは何か演出か何かなのではないか?」  なんて私達の存在の是非を問う議論から始まり、 「彼等の食物になりたがる人が現実にいるというのが問題なのでしょうか?」 「自殺率の高さも関係あるかもしれませんね」  なんて話とか、 「そもそもこんな怪物達に助かろうという考え方がおかしい」 「想像上の存在にいつまでも甘えていないで、現実にきちんと向き合うべきだ」  なんて厳しいご意見まで飛び交うように。  なんて素晴らしい空気。そろそろ頃合いなんじゃないかしら?
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