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ここで私の視線は、その獲物が先程までかじりつくように見ていたものに注目しました。なんでしょうね、これ。文明の利器なのは確かなのですけど、私が居眠りする前はあまり見かけなかったものですわね。
「ちょっと、シエラ。これが何か分かるかしら? 最近の者なら分かるでしょう?」
「え? あ、はい。それは『パソコン』です。色んな情報が詰まってて、結構便利な機械ですよ。まあ、私もよく分からないんですけれどね」
シエルの説明に、私は再度そのパソコンとやらを見てみます。薄いテレビのような映像の中に様々なものが書かれているように見えるのですが、果たしてこれらは一体何なのでしょうか。少なくとも、興味を惹かれる何かだとは分かるのですが。
それにしても、目の前の獲物は何なんですの? 何か喋ってるのは分かるのですけど、どう解釈しても命乞いの類には全く聞こえないですわ。今、私の爪には男の血がべっとりと付着しているのですけど、それを彼の目の前でペロッと舐める仕草をして見せても、なんか思ったのと違う反応をしているんですのよねえ。
まあ、いいですわ。そんなことよりも、今の私の興味はパソコン。シエルが分からないのであるなら、目の前の獲物に聞いてみるまでですわ。
――あなた、命が惜しくなければ……!
いや、今までの状況から察するに、この脅し方はダメですわね。あの獲物もそうでしたけど、ここは表現を改めて、
「ねえ、あなた。ここで皆で、あなたと最期のお楽しみをしたいと思いますの。でもその前に、この機械の使い方と、この中の情報から分かる今の世の状況を、私にも分かるよう全て教えて下さらないかしら」
そう言いながら、私は自慢の胸を獲物の身体に押し付け、その顔を手前へグイっと引き寄せてあげました。
彼は素直に語ってくださいました。そしてその後、私達と『お楽しみ』をして、静かに往生なさいました。
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