もっとたくさん集めますわ

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 サキュバスと共に夜の街に繰り出しては家の中や夜道を歩く男達を攫う日々が、かれこれ一か月も経ちました。  なんだかんだで人間社会というものは良く出来ておりますわね。この一か月続けて謎の不審死事件や失踪事件が相次いで起きていると、彼等の間では大騒ぎになっているようなのです。私がうたた寝する前にもあったテレビや新聞、そしてパソコンとやらの中でも、その事件の報道や話題は連日繰り返されておりました。  ちなみに、攫った人間なのですけれど、彼等は一人ずつ違う部屋の中に閉じ込められます。その中には魔界から招集したサキュバス達が一体ずつおりまして、彼女達から死ぬまで精を搾取されます。  と言いましても、別に猛獣の住む冷たい牢獄の中に閉じ込めるわけではなく、部屋の内部は私が調べに調べた最高級のホテルの部屋と全く同じ、豪華な仕様になっておりますわ。  それに、トイレや風呂などの周辺の世話は全て部屋のサキュバス達がなさいます。相手は食材であり家畜ですわ。飼い主がちゃんと世話をしてあげるのは当然ですよね。  中に入った人間は、長く持っても一週間。次の日には、また新しい食材が彼女達の元へ届けられる形になっております。 「カミラさん、本当にありがとうございます。こんなご飯に困らないシステム、私、初めて知りましたよ」  状況はどうか訪ねたとある部屋の中で、小柄なサキュバスの少女は無邪気に私に謝辞を述べました。獲物は何処かと訊きますと、すぐ近くのベッドの上で、半裸のまま大の字になっておりました。この獲物、私が捕まえたやつですわね。あまりにも太っていて、脂肪の塊がそのまま乗っかっているだけのようにも見えます。吸血鬼の膂力でなければ、あれは容易く運べません。 「それは良かったですわ。ところで、その獲物はどうでした?」 「いやー、面白いですよ。普通、人間なら命の危機を感じて怖がるはずなのに、全然怖がらないんです。それどころか、自ら私の身体を舐め回したり、抱き着いてちゅーしてきたり……。ご飯から懐かれちゃうなんて、ほんと不思議な気分ですよ」  ああ、どおりであなたの身体は、人間の唾液と汗でテッカテカなのですわね。
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