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この感想は、他のサキュバス達からもしばしば頂きました。曰く、彼等は相手がサキュバスであることを特に恐れていない。むしろ、サキュバスに食い殺されることを喜んだ者すらいたそうです。それが彼女達にとっては、とても奇異に映るようで。
まあ、私も彼女達の感想に同意ですわ。でも、獲物を集める次いでとして社会の情報も集めていくうちに、私はその理由が分かった気がします。
さて、私が今いる場所は、城の一角にあるとある部屋。石造りのレンガの壁が露骨に主張している、なんとも不気味な空間です。これから私がすることに、ピッタリな空間ですわ。
私の目の前でシエルがビデオカメラを構えております。実は私、これから簡潔な演説をして、もっとたくさんの人を集めようかと思っておりますの。便利な時代ですわね。わざわざテレビ局なんて使わなくても、今から撮る映像を編集して専用の動画サイトに投稿するだけで、全国に私の言葉を広められるのですから。
「カミラさん、準備良いですか?」
「どうぞ、いつでも良いですわ」
シエルの合図に私は答えます。さて、なんて言おうかしら。途中で色んな映像を挟むとして、獲物達がもっと私の所へ来たくなるようなことを言わなきゃいけませんね。まあ、獲物達から集めた情報から考えるに……。
『●REC』が点った映像の中で、私は口を開きます。
『皆さま、初めまして。最近、人が減っていて物騒ですわね。私、巷で話題の連続失踪事件の首謀者である、こういう者でございます』
そう言って、私はすぐ近くに控えさせた獲物を呼ぶと、その首筋に勢いよく食らいつきました。小太りした中年の男の身体が、びくびくと痙攣しております。やがて私が牙を抜くと、それは力なく床の上に倒れ、そのまま事切れてしまいました。
『私が、どんな者か分かりましたか? さて、私の自己紹介も済んだところで、本題です。私達には、あなたのことが必要です。会社が、家が、家族が、学校が、社会があなたのことを必要としていなくとも、私達には、あなたのことが必要なのです』
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