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さて、最後に人を募る場所を映して、そのメッセージは終了です。とりあえず国内に三か所くらい設定して、そこに集まった人たちをごっそり攫うことにしましょう。なんて効率の良いアイデア。
で、反響なのですけれど、とても高かったですわ。実際に指定した場所へ定刻通り行ってみますと、本当に人がいたのです。彼等は望み通り私達に回収され、私達の糧となりました。
ネットには「是非とも俺ん家にやって来て攫ってほしい」という他人任せな書き込みも見られたのですけど、私達の本質は巣穴へ逃げ込んだ兎を狩る狐のようなもの。人間達の『吸血鬼出没に対する安全な屋内への避難』を、どれだけせせら笑ってきたと思っておりますの?
でも、私だけで動画を作るのもつまらないですわね。実際に彼等を食べているのは、ほとんどが彼女達ですし。というわけで、
「シエル、あなたでの動画も作りたいですわ。協力して下さる?」
「良いですよ。でも、食事しているところを撮られるのって、なんだか慣れないですね」
「大丈夫ですわよ。くっついている部分はカメラに映しておりませんから」
「そうですか。それなら、他所に見せてもギリ問題ないですね。あー、カメラの皆さん、私以外にも沢山の仲間が相手をしてあげますんで、遠慮なく私達の所へ来てください。美味しく歓迎いたし、わ、急に獲物が激しくな……っ!」
シエルって食事中でも案外冷静に喋れるのですから驚きですわ。まあでも、サキュバスの場合は、編集が難しそうですわね。
というわけで、捕食がてら宣伝活動も行うようにした私達なのですが、獲物が自ら集まってくるようなった他に、面白い変化が二つ起こりました。
一つ目は、仲間が増えたことです。
その一人が、クェイド。私と同じ吸血鬼ですわ。
涼し気なサイドアップの髪型が特徴的な、気品溢れる美しい方です。身に付けているアクセサリーやドレスの着こなしも、私と同じく実に優雅。けれども、ひとつだけ決定的に私と異なる部分が。
「よお、カミラぁ! おめえが面白れえことやってるってんで来てやったぜ。美味い飯がたらふく食えるんだろう? あたしにも早速よこせよ、この野郎」
彼女、言葉遣いが非常に乱暴なのですわ。
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