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「なんですって……? それは本当なんですの!?」
私が食らった獲物は、肋骨が浮き出るほど痩せこけて虫の息。あと一食分の血は残ってそうですけど、放っておけばたちまち衰弱死してしまいそうなほど弱っております。
本来ならば、それが息絶える前にもう少し味わっておいたいところ。死んでしまった人の血なんて、不味くてとても頂けるものではありませんもの。
でも、シエラの話が本当ならば――。
「ええ。話せば長くなるんですが、それは実際に現場へ行った見た方が分かりやすいかと」
ならばと早速外へ出ようとする私に、シエルが前を遮ります。んもう、なんですの? 現場行った方が分かりやすいって言っておきながら、通せんぼは筋が通りませんわ。
「で、待ってください。ここからが本題です。ちょっと私に考えがございまして」
ごにょごにょ……と、耳元にとある提案をするシエル。
その内容に――自分でもはっきりと認識できるほど――私は眼を見開きました。
「なんてことを……そんなことが、本当に出来まして!?」
「はい。少なくとも、今の国の状況では、出来ないわけでもないかなーと」
正直、その内容は半信半疑です。でも、それが本当に出来るのだとしたら……。
獲物の味が、まだ口の中に残っているのを感じます。それと同時に、笑みが自然と浮かび上がりました。
「ふふふ。なにそれ。面白いじゃない。そんなこと、全く考えも及びませんわ。それが本当に出来るというなら、是非ともやらせて頂きますわ!」
何はともあれ、まずは現場を確認することから。私は勢いよく部屋を出て、夜の街へと繰り出しました。
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