人間共を更に挑発いたしますわ

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 私の熱弁がひと段落しますと、場内はしんとしました。これは明らかに、私に恐れているからではありませんわね?  ここで、空腹が落ち着いたクェイドが、倒壊した番組セットの一つであるプロジェクタをいじり始めます。いやいつの間に、あなたもそれを扱う技術を身に付けましたの? 「ここ最近で犠牲になったっていう人間達だ。あたしら三百人以上食ってたのか。すげえな」  そんなことを言いながら様々な映像を映していくうちに、ある項目で彼女の口から失笑が漏れました。 「なあカミラ、これ見てくれよ! あたしらを必要とする奴らへのメッセージが書いてあるぜ。『一人で苦しむ前にまず相談を』『あなたは一人じゃない』だってよ。でもカミラの言ってることが本当なら、獲物達が誰かに相談したところで皆聞かねえよな? だってあたしらを必要としている奴らってのは、そいつらにとっては嫌いな人種なんだからよ。それで『あなたは一人じゃない』とか、笑わせてくれるぜ。こいつは何の冗談だ?」 「クェイド。社会には、本音と建前というものがございますわ」 「は、マジかよ!? 成る程な。てことは、随分と汚え本音だなおい!」  そう言って、クェイドは腹を抱えて豪快に笑います。食って笑って大満足したのか、クェイドは私の肩を叩いて言いました。「そろそろ帰んね?」と。私は首を縦に振ります。 「それでは、私達はお暇させていただきます。安定して獲物を供給して下さる皆様に、改めて多大なる感謝を。ささ、お話の続きをなさって?」  出演者の皆様に礼をすると、私は部下のサキュバスや同士の吸血鬼達に「帰りますわよ」と合図。私も蝙蝠の群れへと姿を変えて、このテレビ局を後にします。  その後、この番組はどうなったって? 台無しになったのは、言うまでもありませんわ。
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