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翌日…
授業を終えた後、片付けの為に美術室に残る。
窓も閉めて施錠の確認をしてカーテンを閉め。
黒板の前にいってチョークの確認をしていると
扉が勢いよく開き
その大きすぎる音にビクッと体を強ばらせて振り向くと
「小林君…」
メガネを外し長い前髪をかきあげながら大股で近づいてくる。
その眼光の鋭さに後づさる。
だけど私の後ろは黒板で…
視線をさ迷わせていると
顔の横で体が竦むほどの大きな音
思わず体を縮めて思い切り目を閉じる。
追い打ちをかけるように長い足が更に大きな音をたててウエスト近くの黒板にぶつけられた。…
なに?…
なんなの…
…壁ドン?
違うよね?
だって
恐怖しかない
壁ドンって
胸キュンなんじゃないの…?
絶対に威嚇行為だよ…
誰よ…
胸キュンなんて言ったの…
「…おいっ」
聞いた事ない低い声
俯いてキツく目を瞑っている顎を乱暴に掴まれる。
「や…だっ…」
強引に上げられた顔
目を開けられない私の唇に
小林君の唇が重なった…
驚いて
驚きすぎて
思考が止まる
!?!?!?
太ももを辿りスカートの中に入ってきた大きな掌にパニックになる。
口内に舌が滑り込んできて息を飲んだ。
「…逃げんなよ」
耳元で聞こえる低く掠れた声に膝が崩れそうになった。
腰に手を回され無理矢理引き上げられ
弄ぶように口内に深く小林君が入ってくる。
やだっ
怖いっ
勝手に震える体
突然離され私の体はズルズルと黒板をはって崩れていく。
涙が溢れ止まらない。
そんな私を冷たい瞳で見下ろしている。
私の前にしゃがみ込み、唇を私の耳につけて
「昨日の…誰にも言うなよ。」
私の乱れた髪の毛をひと救い掌に乗せるとニヤっと笑いながら滑らせる。
膝に手を置いて立ち上がるとメガネをかけ前髪を下ろす。
振り返って
「今のは保険。お前がバラしたら俺も今のバラす」
教室を出て行く後姿を涙で滲んだ瞳で見ていた。
……ファーストキス
私の…
なんでっ…
顔を両手で隠して止まらない涙のままに泣いた。
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