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放課後、比奈が私の所にきた。
「柚香っ!帰ろっ」
扉に向かおうとした私を止める。
「柚香さぁ、返事してないんだって?」
振り向き首を傾げると
「だから、齊藤に」
「えっ?なんで知ってんの?」
数日前に告白された相手
「頼まれたから、齊藤に。返事欲しいって」
「返事くらいはしてあげなよ。」
責めるような視線。
「だって…」
断ったよと続けようとしたところで誰かが軽く背中にぶつかってきた。
「あっ、ごめんっ」
振り向いた先にいたのは
…………小林君だった。
咄嗟に強ばる体を左にズラして道を開ける。
「…いや、こっちこそごめん」
いつもの地味な小林君の返事
だけど、すれ違いざまに向けられた視線は…
地味じゃない方の小林君だった。
当然比奈は小林君を気にもとめない。
「ねぇ、ホント齊藤に返事しなよ。」
念を押され
「断ったんだけど…」
「えっ?そうなの?だって齊藤言ってたよ?」
「うん、断ったんだけど考えてみてって言われたんだよね。でも、考えられないって答えたのに」
比奈が呆れたため息を吐く。
そこに京香も入ってきて掻い摘んで今話していた事を伝えると
「齊藤ねー、諦め悪いからなー。もおほっとけば?」
軽く言い放ち帰ろと教室を出る。
自転車通学の比奈と別れて
地下鉄の駅が目の前にある京香は改札の手前で地下鉄の駅に向う。
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