知らない

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 改札を抜けると小林君がホームの柱に足を組み寄りかかってコチラを見ていた。  私が歩く度に視線が追いかけてくる。  反対に歩き始めた私の後についてきて、隣に並ぶ。  「………。」  見た目も雰囲気も学校での小林君。  向けられる瞳だけが違って…  逃げるように進んでいくと当たり前だけどホームの端…  何だか追い詰められたようで落ち着かない。  「齊藤と付き合うの?」  「えっ?」  見上げた私に  「まぁ、どうでもいいけど。自分の男に俺の事少しでも話したら」  1歩近づいて、メガネを指で下げると  「あの美術室の…バラすよ。あれ、はじめてだろ?」  口の端を歪めて…  「なっっ!何言ってるのっ!私の男じゃないし、私がはじめてとか小林君にはどうでもいい事でしょっ……脅かさなくても誰にも言わないからっ」  「だから…」  唇を噛みしめる私に  「だから?」  冷たい声…  「お願い…そんな冷たい顔で見ないで…」  怖くて怖くて俯いている事しかできない私を見ていた小林君の表情は…  私には見えなかったけれど…
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