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「おかえりなさい。古田所長」
「どういう......」
「やっぱりまだ記憶を戻してなかったんですね。
あなたは国家研究所のAI研究プロジェクトをすすめている研究所長ですよ。
人間そっくりのAI搭載したアンドロイドと、人間が愛し合えるのか。愛し合えるのなら結婚できない人は、AIと結婚して家庭を作る未来ができるかもしれないというプロジェクトをつくりました。
結婚する相手もアンドロイドだったら、自分の理想の人を作ることができるという、素晴らしいプロジェクトですよ。
それでまずは自分が被写体になるって、所長、自ら言い出したんですよ。
前の会社は首になって仕事を探しているという設定で。このプロジェクトのことは知っていると、相手を愛するのに支障が出るから記憶は抜き出せって、私に指示して。
そして出会いも自然にって言われていたので、いろいろ工夫しましたよ。
人が恋をするのに短いと難しいので、一応期間は1年とこれもあなたが決めたんですが......
あー覚えてないですよね。まあ仕方が無いですけど」
この男は何を......
俺はここの所長で、アンドロイドを人間が愛せるか研究をしていたって......
じゃあ 綾は?
「街で綾とそっくりの人に会ったんだが、 化粧が派手で関西弁の......」
「彼女もAI搭載アンドロイドですよ。人に愛して貰えるよう相手の好みをプログラムしているので、AYAとは違ったでしょう?
対象が関西弁のピチピチギャル風の子が好みみたいですよ。
AYAも所長の好みだったでしょ?
所長が書いた日記の内容と、所長の態度を見れば研究は成功ですね。
とにかく所長、速く記憶を戻して下さい。1年間所長がいない間、仕事が溜まってるんですから。話はそれからです」
そう言って野村はにっこりと笑った。
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