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私の娘は、昔からとても甘えん坊でした。 どこへ行くにも『ママ、どこに行くの?』と首をかしげ、 私が少しでもどこかへ行くと『ママ、ママ!』と言って大泣きする始末でした。 まだ小さい時でしたし、大きくなれば自然にそんなこともなくなっていくだろうと 思っていた私がバカだったんだと思います。 その甘えん坊は小学校に上がっても、中学生になっても直ることはありませんでした。 『ママー』 そう言って布団に潜ってくる娘。もう中学生なのに…… 私は急に、自分の娘が情けなくなってしまいました。 「もう中学生なのよ!?情けなくないの!?あぁ、恥ずかしい!!」 私は思わず、娘に向かって叫んでしまいました。 にこやかだった娘の顔はみるみるうちに真顔になり、黙って布団から出て行きました。 こうやって、もっと強く言っておけばよかった。 娘もきっとわかっていてくれているはず。 安心した私は、そのまま襲ってきた睡魔とともに眠りに落ちてしまいました。 朝、目覚めリビングに出ると、そこに娘の姿はありませんでした。 部屋にも洗面台にもいない。きっと、先に学校へ行ってしまったんでしょう。 そう思っていると、ピンポーンとチャイムがなりました。 もしかして、忘れ物でもしたのかしら。 「はーい」 そう言ってドアを開けると、娘ではなく警察が立っていました。 『すいません、少々署まで同行してもらえませんでしょうか?』 「なぜですか?」 怪しいと思い聞いてみると、警官さんは驚くべきことを口にしました。 『お宅の娘さんが昨日の夜、車に轢かれ亡くなりました』 「えっ……?」 突然のことで思わず声を上げた。 そんな、私のせいで……… きっと娘は昨日私が言った言葉に心を痛め、自殺してしまったんでしょう。 警察署で私がそう話すと、警官さんは『そうですか、お気の毒です』といい、私を家に返してくれました。 私は娘の死を嘆き、悲しみました。
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