1人が本棚に入れています
本棚に追加
私の娘は、昔からとても甘えん坊でした。
どこへ行くにも『ママ、どこに行くの?』と首をかしげ、
私が少しでもどこかへ行くと『ママ、ママ!』と言って大泣きする始末でした。
まだ小さい時でしたし、大きくなれば自然にそんなこともなくなっていくだろうと
思っていた私がバカだったんだと思います。
その甘えん坊は小学校に上がっても、中学生になっても直ることはありませんでした。
『ママー』
そう言って布団に潜ってくる娘。もう中学生なのに……
私は急に、自分の娘が情けなくなってしまいました。
「もう中学生なのよ!?情けなくないの!?あぁ、恥ずかしい!!」
私は思わず、娘に向かって叫んでしまいました。
にこやかだった娘の顔はみるみるうちに真顔になり、黙って布団から出て行きました。
こうやって、もっと強く言っておけばよかった。
娘もきっとわかっていてくれているはず。
安心した私は、そのまま襲ってきた睡魔とともに眠りに落ちてしまいました。
朝、目覚めリビングに出ると、そこに娘の姿はありませんでした。
部屋にも洗面台にもいない。きっと、先に学校へ行ってしまったんでしょう。
そう思っていると、ピンポーンとチャイムがなりました。
もしかして、忘れ物でもしたのかしら。
「はーい」
そう言ってドアを開けると、娘ではなく警察が立っていました。
『すいません、少々署まで同行してもらえませんでしょうか?』
「なぜですか?」
怪しいと思い聞いてみると、警官さんは驚くべきことを口にしました。
『お宅の娘さんが昨日の夜、車に轢かれ亡くなりました』
「えっ……?」
突然のことで思わず声を上げた。
そんな、私のせいで………
きっと娘は昨日私が言った言葉に心を痛め、自殺してしまったんでしょう。
警察署で私がそう話すと、警官さんは『そうですか、お気の毒です』といい、私を家に返してくれました。
私は娘の死を嘆き、悲しみました。
最初のコメントを投稿しよう!