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すると、
「すみません。ここ、宜しいでしょうか?」
25歳位の何処かの会社の制服を着た女子社員がテーブルの向かい側を指さして訊ねてきた。
『いっぷく亭』は相席も時には仕方がない程の人気店で、だしが自慢の名店だった。お昼時は常に客が多く、座る席を譲り合うのがマナーとなっていた。
「はい。勿論どうぞ」
龍司は笑顔で応えた。
「恐れ入ります」
女は一瞬優しく微笑んで、セミロングのゆるくパーマのかかった髪を少しかきあげた。
そして、向かい側の木の椅子に座る仕草が妙に色っぽかった。滲み出る色気が半端ではなく、座る瞬間の襟元を大きく開けた白いブラウスから豊かな胸が弾んで波打つのが丸見えだった。
龍司には刺激が強すぎて、お茶を噴き出すところだった。
小百合の華奢な平坦な体つきとは異なっていた。
その女の体つきは、大人の色気を周りにムンムンと撒き散らすようで、龍司は一目でその肉体に釘付けとなり、頭がクラクラし始めた。
この女には、男の本能を擽る甘く危険な香りが漂っていた。
龍司は目のやり場に困って俯きながらも体が勝手に反応するのを抑えるのが大変だった。
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