S婦人

6/186
前へ
/186ページ
次へ
血の滴るようなミディアムのサーロイン牛ステーキを小さく切り刻んで口に入れた。 柔らかくてジューシーでスパイスの効いた味覚は、幸福に満ち足りた気分にさせてくれた。 「美味しいものを一番好きな人と食べるのって、最高に幸せなひとときだと思うわ」 小百合は龍司に感謝の言葉を述べた。 「どういたしまして。小百合がこんなに喜んでくれるならお安い御用だよ。いつも仕事で忙しいのに、ちゃんと僕にも毎日お弁当を作ってくれているんだから。たまにはこんな贅沢位ちっとも惜しくはないよ」 龍司は微笑んだ。 紺のスーツがよく似合っていた。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加