第1話 婚活パーティ

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「佐々木さんて、趣味は何ですか?」 「え、あ……趣味……ゲーム……ですかね」  モゴモゴと口の中で喋る。  姉ちゃんに無理やり申し込まれて、思いきって婚活パーティーなるものに来てみたけど、多分僕がこの五十人くらいの中で、一番年下だ。  アラサー、アラフォーのお姉さんたちに囲まれて、僕はドギマギと挙動不審に答えてた。  これだけ人が居れば僕なんか相手にされないだろうと、ちょっとしたリハビリみたいなつもりで来たのに、いきなりこの展開は何なんだ!  混乱した頭を押さえて、額に汗を滲ませる。  僕の後手後手な反応を見て、さっさと鞍替えした女性が多かったけど、それでも僕をギラギラした目で値踏む数人の女性たちは、けっして引き下がらない。   「あ……あの、僕、お手洗いに……」  女性と目を合わせるのもままならないのに、急に会話なんてしたものだから、目眩がして人垣の中を抜け出す。  残念そうな溜息が追い縋ってきたけど、僕は構わずに小走りに会場を抜け出した。 「はぁ……」  お手洗いの前まで行って、中には入らずに、人待ち用のベンチにへたり込むように腰掛ける。  だけど間髪入れずに、カツカツという足音が角の向こうから追ってきて、僕は女性と二人きりになる恐怖に凍り付いた。 「ひぇ……」  情けないけど、変な声が出てしまう。  僕は両手で顔を覆って俯いた。本当に、気分が悪い。  足音が目の前まで来て、気配が隣に腰掛けた。ひぃぃいいいい。
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