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ソファ席でかるくいちゃいちゃしながら、ぽつぽつ思い出話をした。いくつも懐かしい場面がよみがえって、二人でこうして過ごせることに、祐樹は本気で感謝した。
孝弘が追って来てくれて、本当によかった。5年の時間を越えて再会して、こんなふうに恋人になれるなんて、あの頃かけらも思ったことはなかった。
カクテルをそれぞれおかわりして、ほどよく酔いが回ったところで孝弘がささやいた。
「祐樹といちゃいちゃしたいな。したに部屋、取ってあるんだ。泊まっていこ?」
きゅっと手を握られて、下というのはこのビルのなかにあるホテルの話だと、祐樹にもわかった。52階から67階がホテルになっているのだ。
「一緒に風呂に入る約束したよな」
孝弘がにやりと楽しげな、いたずらっぽい笑みを見せる。
つまり、狭くないというのはここの風呂の話か、ときのうの孝弘の発言を思いだす。なるほど、すべて手配済だったというわけだ。
「ほんと、手際のいいことで」
苦笑しながらグラスに口をつける。嫌だなんていうわけがない。
「敏腕コーディネーターですから」
な?と首をかしげて見せ、孝弘はグラスを空けた。
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