第1章 探偵

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 相棒は自分なのに、絶対に単独で行動する漢助。まぁ、友人も誠くらいしかいないようだから、昔から一匹オオカミ気質なのだろうと思う。  誰かと群れたりするのを嫌うタイプだろう。 「で、今は?」 「ん?」 「幸村先生はなんでここに来たの?」  帰って来た時に漢助はいなかった。だから、誠の事務所にいると思っていたのに、漢助と共にここに来た。  話しが終わったのなら誠がここに来る用は無いはずだ。なのに、誠はここにいる。 「君にとったら嬉しい話しだと思うよ」 「俺にとって?」 「そう。漢助には君には言うなって言われたんだけど、いつもいつも君が退屈そうな顔してるからね。可哀想になっちゃって」 「え? あの……」  そう言って、誠は十汰の手を取り、スタスタと歩き出す。そして、ソファーに座る漢助の隣に十汰を座らせ、その対面に誠が座った。  すると、胸ポケットから一枚の白色の封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。 「じゃじゃーん。依頼だよ」 「えっ! い、依頼! 本当!」 「本当、本当。今回はトオタ君にも手伝って欲しくてね。直接言わないと漢助が一人でやっちゃうと思ってわざわざ上まで来ちゃったんだ」 「チッ……余計な事を……」  漢助は誠の変なテンションに少しだけ苛立ちを見せていた。そんな漢助そっちのけで、十汰は大きな目をキラキラと輝かせ、その封筒を両手で持った。
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