第6章 執着

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 でも、こんな風に行動を起こすなんて……。  信之助は十汰が思っているよりも危ない人間かもしれない。 「ねぇ、なんでこんな事するの? 友達になろうってあんた言ってきたじゃん……」 「えー、そんな事言ったっけ?」 「こんな事しなければ、俺はあんたが五年前の人間だって気付かなかったよ……」  いや、もしかしたら、もっと会う機会が増えていたら気付いていたかもしれない。  あの、たまたまコンビニで会った時。腕を掴まれた時に感じた感覚が増えていたら、疑っていたかもしれない。  そう思った時、ふと、その時の信之助の言葉が頭に浮かんだ。  あの時、信之助が帰って行った方向はタオリフラワーショップがある場所ではなかっただろうか。  そして、信之助は、友人と飲んでいると言っていなかっただろうか。 「もしかして……他織さんに入れ知恵を吹き込んだのってあんた?」 「他織? あー、長信の事。そう。俺とあいつ友達だよー。って言っても、ネットで知り合った友達だけどね」 「でも、つい最近直接会う仲になった?」 「うん。ネットで片想いしてるって書いててねー。それ見て、俺もそんな奴探してたから俺の方からコンタクトを取ったんだ」 「そんな奴って……」 「幸村法律事務所に繋がってる奴。あと、白石先輩に繋がる奴」 「!」  その言葉に十汰は鳥肌が立った。  今、一瞬自分の頭に浮かんだ事が、本当だったら恐ろしい事だ。 「そんな奴いないかなーって思ってたら、長信を見付けた。あの男、名指しで葉山雪音の事書いてあるもんだから、すぐにその女が葉山建設株式会社の社長令嬢だって分かったよ。あと、葉山建設株式会社の顧問弁護士が幸村だって事も調べたらすぐに分かった」  その言葉に、血の気が引いた。 「そして、たまたま、本当に偶然だったよ。その女の先輩が白石先輩だったんだ。あれはビックリしたね。鳥肌立ったもん」  嘘だろ。そう思った。  十汰が頭に浮かんだストーリーがその通りになっている。
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