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信之助の父親は警察官。しかも、位は上らしい。だから、自分の息子がやらかしても揉み消す事ができたし、十汰の父親は自分の息子のしでかした事を揉み消す為に、信之助が十汰にした事を無かった事にした。
全て、もう完結していたのだ。
被害者の十汰だけは知らずに……。
「最悪……最悪最悪っ」
「最悪なのはこっちだよ。あの男……伊達坂のせいで俺、五年もじゅったんとバラバラだったんだ」
「え……?」
「あ、そっか。じゅったん、あいつの事なーんにも知らないんだよね? 恋人なのに……」
挑発するような言い方。
そんな信之助に手を出せないこの状況が恨めしい。
「教えて欲しい? 伊達坂漢助の事」
「いい。……あんたに漢助を語って欲しくない」
「ハハッ、強気な言葉。昔のじゅったんはそんな事言う子じゃ無かったのになー……あいつに感化されたのかな?」
「いい方向にね」
十汰はそう言って、笑った。
心の中では恐怖心で今にも吐きそうだったけれど、怖いと思っている事を知られたくはなかった。
絶対に。
「なら、知らなきゃだねー。伊達坂漢助の事……知らなくてもいい事全て……」
そう言って、信之助は不気味に笑った。そして、漢助の過去を語り出した。
その話しは、十汰の想像を超える物だった。
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