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それを見た瞬間。十汰は凍り付いた。何故って、その画面に映された人物が、縄で縛られ意識が無い状態だったからだ。
「白石さんッ!」
それは絢だった。絢は縄で縛られ倒れていた。場所は何処かの倉庫のようだ。
薄暗く、明かりが薄い。
「白石絢。伊達坂漢助の元相棒……そして、結婚まで考えた女……」
「え……?」
「そっかー。そこまで知らない? 伊達坂漢助はね、白石絢と結婚まで考えてたんだよ。五年前、じゅったんを拉致した日。それが指輪ができた日だったんだ」
「そ…んな……」
「警察官内では結構有名な話しだったみたい。あの伊達坂漢助がついにプロポーズかって。でも、それはしなかった……」
「な……んで……?」
十汰は心臓を早くさせ、信之助の言葉を急かす。早く言って。そう思った。
「じゅったんを引き取ったからだよー。あと、警察官を辞めるから。それと……白石絢の為」
そう言って十汰の目の前に置かれたパソコンを更に近付ける。そして、絢を見てろとでも言うように、笑う。
「白石絢の父親は殉職してる。その後を追って、白石絢は警察官になった。だから、人一倍警察官に誇りを持って仕事してるし、出世する為に誰よりも努力してる事も伊達坂漢助は知っていた……俺も白石さんの側で仕事してて、この人の凄さを知ったよ。俺には真似できないくらいすげー女」
十汰は途中、信之助の言葉が頭に入って来なかった。
あの漢助が結婚まで考えた人がいたなんて……知らなかった。
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