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十汰は上機嫌でキッチンに行こうと立ち上がる。でも、その手を漢助が掴む。
「ん? どうしたの?」
「お前、本気で手伝う気か?」
「え……? うん! あったりまえじゃん! 漢助が何を言ってもやるよ!」
「そうか……なら」
「なら? えっ? わあっ!」
突然、ヒョイっと身体が浮いた。それは、漢助が十汰の身体を横抱きで抱えたからだった。
なんて色気の無い抱き方だろうか。まるで、米俵を抱えているようだ。
「な、なにする気!」
十汰は横抱きで抱えられ、両手両足が宙ぶらりんになった。
160センチ丁度の身体は、180センチ越えの漢助には子供を担いでるような物だろう。
体重も50キロしかないので、漢助にとったらただの筋トレ。
「なにって、なにだ」
そう言ってニタッと笑う漢助。
その笑みに、嫌な予感がする十汰。
「さ、するぞ」
その嫌な予感は見事的中。
漢助は寝室へと入ると、十汰をベッドにドサっと落としたのだった。
「す、するって! い、今から?」
「今からに決まってんだろ。そろそろ俺の大きさに耐えられるくらい拡張しないとな」
「い、嫌な言い方……」
でも、ようやく漢助が自ら行動して十汰を抱きたいと言ってくれ、十汰は口ではそう言うが、内心では嬉しかった。
長く漢助と一緒にいるが、付き合えたのは十汰が二十歳になってからで、その間、十汰のアタックは何度も簡単に交わされ、キスさえもさせては貰えなかった。
でも、二十歳になってようやく漢助が首を縦に振ってくれたので、少しずつ十汰は大人の階段を登っていったのだった。
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